摘要ノート「資本論Ⅱ」(35)

第三編 社会的総資本の再生産と流通

第二十章 単純再生産

第六節 部門Ⅰの不変資本

ところで、部門Ⅰの場合にその商品生産物の形態で再現する不変資本価値について言えば、その一部分は自分が生産物として出てくる特殊な生産部面に(または個々の事業経営にさえも)再び生産手段としてはいって行く。たとえば、穀物が穀物生産に、石炭が石炭生産に、鉄が機械の形で鉄生産に、等々というように。とはいえ、Ⅰの不変資本価値を構成するいろいろな部分生産物が再び直接にそれぞれの特殊的または個別的な生産部面にはいって行かない場合でも、それらはただ場所を取り替えるだけである。それらは現物形態で部門Ⅰのなかの別の生産部面にはいって行き、他方、部門Ⅰのなかのまた別の生産部面の生産物が現物でそれらを補填する。それはこれらの生産物の単なる場所変換である。それらはみなⅠの不変資本を補填する諸要因として再びはいって行くのであって、ただⅠのなかのある群のそれを補填しないで他の群のそれを補填するだけである。ここでⅠのなかの個々の資本家たちのあいだの交換が行なわれるかぎりでは、それは不変資本の一つの現物形態と不変資本の他の一つの現物形態との交換であり、ある種類の生産手段と他の種類の生産手段との交換である。それは、Ⅰのいろいろな個別不変資本部分動ぢのあいだの交換である。いろいろな生産物は、直接にそれら自身の生産部門で生産手段として役だつのでないかぎり、自分の生産場所から別の生産場所に遠ざけられ、こうして互いに入れ替わるである。
仮に生産が資本主義的でなく社会的であるとすれば、明らかに、部門Ⅰのこれらの生産物はこの部門のいろいろな生産部門のあいだに、再生産のために、同様に絶えず再び生産手段として分配され、、一部分は、直接に、自分が生産物として出てきた生産部面にとどまり、反対に他の生産物は他の生産場所に遠ざけられ、こうしてこの部門のいろいろな生産場所のあいだに絶えず行ったり来たりが行なわれることになるであろう。

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