摘要ノート「資本論Ⅱ」(25)

第二篇 資本の回転

第十七章 剰余価値の流通

現実の蓄積、すなわち剰余価値の生産資本への転化(またそれに対応する拡大された規模での再生産)と並んで、貨幣蓄積、すなわち剰余価値の一部分を潜在的な貨幣資本として積み立てることが行なわれるのであって、この貨幣資本はあとにある程度の大きさに達してからはじめて現実の追加資本として機能することになるのである。ここの資本家の立場からは、事情はこのように現われる。しかし、資本主義的生産の発達につれて同時に信用制度が発達する。資本家が自分の事業ではまだ充用することのできない貨幣資本は、別の資本家たちによって充用され、その代わりに前者は後者から利子を受け取る。この資本は、前者にとっては、独自な意味での貨幣資本として、生産資本とは区別された種類の資本として、機能する。しかし、それは他人の手のなかで資本として働く。いうまでもなく明らかなことであるが、剰余価値の実現がいっそう頻繁になり、また剰余価値の生産される規模が大きくなるにつれて、新たな貨幣資本または資本としての貨幣が貨幣市場に投ぜられてそこから少なくとも大きな部分が再び拡大生産のために吸収されて行く割合は増大するのである。この追加貨幣資本の存在形態がどうであろうと、それが将来の資本であるかぎり、それが表わしているものは、社会の将来の追加的年間生産にたいして資本家がもっている追加的な留保された請求権以外のなにものでもないのである。

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