貨幣蓄積、貨幣蓄蔵は、現実の蓄積すなわち産業資本の作業規模の拡張に一時的に伴う過程として現われるのである。蓄蔵貨幣という形態は、ただ、流通していない貨幣の形態、流通を中断されているので貨幣形態で保存される貨幣の形態でしかない。貨幣蓄蔵そのものについて言えば、それはすべての商品生産に共通であるが、それが自己目的として一つの役割を演ずるのは、ただ商品生産の未発展な前資本主義的な形態だけでのことである。ところが、ここでは蓄蔵貨幣が貨幣資本の形態として現われ、また貨幣蓄蔵が資本蓄積に一時的に伴う過程として現われるのであるが、それは、貨幣がここでは潜在的な貨幣資本の役割をするからであり、またそれをする限りでのことである。また貨幣蓄蔵、すなわち貨幣形態で存在する剰余価値の蓄蔵貨幣状態は、剰余価値が現実に機能する資本に転化するために資本の循環の外で行なわれる機能的に規定された準備段階だからである。つまり、蓄蔵貨幣はこのようなその規定によって潜在的な貨幣資本なのであり、したがってまた、それが過程にはいっていくために到達していなければならない大きさも、生産資本のそのつどの価値構成によって規定されているのある。しかし、それが蓄蔵貨幣状態にあるかぎり、それはまだ貨幣資本として機能していないのであり、まだ遊休している貨幣資本なのである。以前のようにその機能を中断されているのではなく、まだその機能を行なう能力のない貨幣資本なのである。