(イ) Jordan 標準形の存在
n 次の正方行列 A が「ベキ零行列」であるとすると、行列 A は、Jordan 細胞を用いてと表わすことができるような行列 が存在し、「ベキ零行列」は Jordan 標準形へ変換することができる。
いま、 はベキ零行列なので、
前回<jordan 細胞>では、 のときを主に考察した。
そこで、今回は、 とした場合、どうなるかを、より詳しくみていこう。
いま、
となる を一つ固定し
いま、 であるから、(n-1)次で(1)式が成り立つ、と仮定しよう。
ところで、(1)式を(3)式に適用するためには、 は「べき零行列」でなければならない。そのことを確認しよう。
すると、(1)を適用して、
と表わすことができるような行列 が存在する。そこで、
答えは 「Jordan 行列は Jordan 細胞の並べ方を除けば ただ一通りに定まる」
それは、行列 P,Q によってでなく、べき零行列 A の性質のみによって決まる。
(ロ)の考察で、
つまり、Jordan 行列の 次 Jordan 細胞の個数 は、
として表わされる。
を満たす は Jordan 細胞の次数である。
さて、n 次正方行列 A の固有方程式が を n 重解としてもつ場合を考えてみよう。
いま、 であるから、(n-1)次で(1)式が成り立つ、と仮定しよう。
ところで、(1)式を(3)式に適用するためには、 は「べき零行列」でなければならない。そのことを確認しよう。
と表わすことができるような行列 が存在する。そこで、
(ロ) Jordan 標準形の一意性
(イ)の考察で、「べき零行列」は ある行列 P を用いて Jordan 標準形に変換できることは分かったが、それでは、違う行列 Q を用いると Jordan 標準形も違う形になるのだろうか?答えは 「Jordan 行列は Jordan 細胞の並べ方を除けば ただ一通りに定まる」
それは、行列 P,Q によってでなく、べき零行列 A の性質のみによって決まる。
そのことを確認しよう。
Jordan 行列における 次 Jordan 細胞の個数を
ここで、 次 Jordan 細胞の2乗、3乗を計算すると、例えば、
のように、 1 が並ぶ斜線が一つずつ上に上がっていくことが分かる。
したがって、
を得る。これらの式を上から順に見れば、 を順に、 によって決まることが分かる。
すなわち、Jordan 細胞の個数は のみによって決まる。つまり、 の性質によってのみ決まることが分かる。
Jordan 行列における 次 Jordan 細胞の個数を
ここで、 次 Jordan 細胞の2乗、3乗を計算すると、例えば、
のように、 1 が並ぶ斜線が一つずつ上に上がっていくことが分かる。
したがって、
を得る。これらの式を上から順に見れば、 を順に、 によって決まることが分かる。
すなわち、Jordan 細胞の個数は のみによって決まる。つまり、 の性質によってのみ決まることが分かる。
(ハ) Jordan 細胞の個数
それでは、Jordan 細胞の個数はいくつあるのだろうか。(ロ)の考察で、
つまり、Jordan 行列の 次 Jordan 細胞の個数 は、
として表わされる。
(二) Jordan 細胞の次数
(ロ)の考察より、を満たす は Jordan 細胞の次数である。
さて、n 次正方行列 A の固有方程式が を n 重解としてもつ場合を考えてみよう。
仮定より、行列 A の特性(固有)多項式は
すると、(イ)より、 は、Jordan 行列となる。
したがって、
となるので、 すなわち、Jordan 行列で表わされる、ことが分かる。
すると、(イ)より、 は、Jordan 行列となる。
したがって、
となるので、 すなわち、Jordan 行列で表わされる、ことが分かる。