いま、
これを、二項展開で表わすと
そこで、
のように考えると、(2)式は x をひとつ固定したときの「y の関数」をベキの形で表わしたもの、とみることができる。
すると、(2)式の二項展開は、
という「Taylor 展開」に他ならない、ということが分かる。
例えば、
というように「多項式 の各項を二項展開して、y について整理して得られた式である」と考えることもできる。
さて、いま、
として、(イ)(ロ)それぞれを用いて、多項式を行列展開することを考えてみよう。
まず、(イ)の場合、
が成立するならば、 は(2)式同様
のように表わされる、ことが分かる。
そこで、いま、正方行列
は、
を考えることができるから、勝手な多項式
に対して、変数
のところに
という行列を代入して
という行列を考えることができる。
したがって、(7)式は
となることが分かる。そこで、行列の成分をよくよく考えると、
(6)式より
のように表わせることが分かる。
そこで、一般の多項式
の場合を考えてみると、上の議論より、勝手な自然数
に対して
というように表わせることが分かるから、
となることが分かる。
一方、(ロ)の場合は、
と表わすことができる。そこで、
を考えるに、
は可換であることに注意
して、
を二項展開してみると、
いま、 を計算すると、
となることが分かる。そこで、(イ)の場合と同様に考えると、多項式
に対して
となることが分かる。
このように、ある行列をスカラー行列
とベキ零行列
の和に分解すると、これらの行列に対しては、
として、比較的簡単な計算で、直接、
などの行列を求めることができる。その意味で, これらの行列も「十分見やすい形をしている」と考えることができる。そこで, このように対角線の一段上だけに 1 がいくつか登場することを許すような「一般化された対角行列」も「見やすい形の行列」の仲間に入れるということが考えられた. このような「一般化された対角行列」のことを Jordan 標準形と呼ぶ。