日本社会で支配的に行われている経済構造は資本主義生産様式である。今日の資本主義的生産様式は、二つの社会階級の存在を前提としている。一方は資本家で、彼らは生産手段と生活手段を所有しており、他方はプロレタリアで、彼らはこれらの手段の所有から締め出されていて、売るべき商品をただ一つしかもたず、つまり彼らの労働力のほかはなにももたず、したがって、生活手段を得るためにこの彼らの労働力を売らなければならないのである。つまり労働力が一種の商品として売買されるのである。この交換関係を通じて、資本家階級は労働者階級を搾取することができる。これが資本主義社会の 2 大階級である。
しかし資本主義社会には一般に、これ以外の階級も存在する。
橋本健二・早稲田大学人間科学学術院教授は日本社会を形成する階級を、職種や雇用形態などによりさらに次のように分類している。「現代日本の階級構造と階級間移動」(https://www.l.u-tokyo.ac.jp/2015SSM-PJ/03_05.pdf)
以上のように、資本主義社会を構成する主要な階級は、資本家階級、新中間階級、労働者 階級、旧中間階級の 4 つである。資本家階級は直接に新中間階級と労働者階級の上に立ち、両者を雇用し支配している。旧中間階級に対しては、直接に支配するわけではないが、大量の生産手段を所有することによって優位に立っている。だから資本家階級は、資本主義社会の支配的な階級だということができる。
橋本教授は、これらの階級の実証的な分析のために具体的には次のように操作化して考察される。
①まず有職者全体を被雇用者と経営者・役員・自営業者・家族従業者に分ける。
②被雇用者については専門職、管理職、課長以上の役職者および男性事務職(非正規雇用を除く)を新中間階級、その他を労働者階級とする。
③経営者・自営業者等については従業員規模が 5 人以上を資本家、5 人未満を旧中間階級とする。
教授は政府の「2012年就業構造基本調査」をもとに、社会階層と社会移動全国調査 (SSM調査 The national survey of Social Stratification and social Mobility)を駆使して次のように算出。
1.資本家階級(経営者・役員):254万人、就業人口の4.1%。平均世帯年収男性1070万円、女性1039万円。
2.新中間階級(被雇用の管理職・専門職・上級事務職):1285万人。就業人口の20.6%。平均世帯年収男性804万円、女性788万円。
3.正規労働者階級(被雇用の単純事務職・販売職・サービス職・その他マニュアル労働者):2192万人、就業人口の35.1%。平均世帯年収男性569万円、女性687万円。貧困率2.6%。
4.旧中間階級:806万人、就業人口の12.9%。平均世帯年収587万円。貧困率17.2%。
5.アンダークラス(非正規労働者):929万人、就業人口の14.9%。平均世帯年収343万円。貧困率38.7%。
ここで注目されるのは、新たな階層の出現である。
エンゲルスは言っている。
資本主義的生産様式は、その起源からしてこの生産様式に内在する矛盾のこの二つの現象形態のなかを運動する。・・・生産の社会的無政府状態というこの推進力こそが、大工業の機械の限りなく改良されてゆく可能性を、それぞれの産業資本家にとっての、没落したくなければ自分の機械をますます改良してゆかなければならない、という強制命令に変えるのである。だが、機械が改良されるということは、とりもなおさず、人間労働がいらなくなることである。機械が取りいれられ、ふえるということは、数百万の手作業労働者が少数の機械労働者によって駆逐されることを意味するが、機械が改良されるということは、機械労働者それ自体がますます駆逐されてゆくことを意味し、けっきょくは資本の平均的な雇用需要をこえるある数の賃金労働者、本来の産業予備軍がつくりだされるということを意味する。・・マルクスの言葉をかりていえば、機械が労働者階級とたたかうための資本の最も強力な武器となり、労働手段が労働者の手からたえず生活手段をたたきおとし、労働者自身の生産物が労働者を隷属させるための道具に変わる、という結果になるのである。そこで労働手段における節約が、はじめから、同時に労働力のまったく容赦のない浪費、労働の機能の正常な諸前提の強奪となる、という結果になり、労働時間を短縮するための最も強力な手段である機械が、労働者とその家族との全生涯を、資本の価値増殖のために自由に利用できる労働時間に変えるための最も確実な手段に転化する、という結果になるのである。・・・一方の極での富の蓄積は、同時に反対の極での、すなわち自分自身の生産物を資本として生産する階級の側での、貧困、労働苦、奴隷状態、無知、野獣化、道徳的堕落の蓄積なのである。