私が用いてきた、そして経済上の問題にはまだ適用されたことのない分析の方法は、はじめの諸章を読むことをかなり困難にしています。
「学問には平坦な王道はありません。そして、学問の険しい坂道をよじのぼる労苦をいとわないものだけに、その明るい頂上にたどりつく見込みがあるのです。」
第三版へ エンゲルス
マルクスの引用の仕方について
純粋に事実関係の報告や記述の場合には、たとえばイギリスの青書からの引用が、言うまでもなく単純な引証として、役だっている。ところが、他の経済学者たちの理論的見解が引用される場合には、そうではない。こういう場合には、引用は、展開の途上に現われる経済思想が、どこで、いつ、だれによって、はじめて明言されているか、を確定するだけでよいのである。そのさい肝要なことは、問題の経済的見解が学問の歴史にとって意義のあるものであるということ、それがその時代の経済状態の多かれ少なかれ適切な理論的表現であるということだけである。しかし、この見解が著者の立場にとってなお絶対的または相対的な妥当性をもしたがって、これらの引用は本文にたいして、ただ経済学の歴史から借りてきた当座の注釈となるだけのものであり、経済理論の個々の比較的重要な進歩を時期と創始者とにしたがって確定するものである。